ツケ恐怖症を知っているか

闇の中で流行っている。

それなりに儲かると返り討ちに合いそうな気がする。

普通に考えて1日で50万儲けるとかダメだと思う。外では真面目に働いている人がいるのに。だからそのツケを払わさられるのではないかと戦々恐々とする。そのたびに自分より恵まれている人を想起してこの程度は問題にならないと正当化する。些細な事をこれがツケだなと見なしツケの返済をしたとみなす。別に儲けたからといってなにか不幸なことが起こるという因果関係はないしこのご時世マクロ的にみると富める人はますます富んでいるのは周知のところだ。もちろん大富豪だからといって幸せであるかどうかはわからないが。この差し引きゼロの思想がどこから来ているのか。仏教なのか神道なのかその辺のところは置いておいてとりあえず返り討ちを避けるためにも日頃よりものすごくお世話になっている女の子にお寿司をごちそうしてあげたのであった。ご馳走することがツケ回避になるのかはよくわからない。繁華街に出かけたことで交通事故にあったり通り魔に刺される可能性は急激に上昇するのでその意味では間違っていないのかもしれない。とにかく夜道の背後に気をつけろだ。そんなわけで今日はそのお話だ。

待ち合わせ場所がいつもより混雑している。どうやら夏祭りの類のイベントのようだ。普段閑散としている場所に人がたくさんいるのは滅茶苦茶嫌いなんだ。とりあえずこれがツケその1だと思うことにする。路上ライブの音がうるさい。フラダンスなんか鑑賞して何が面白いんだ。さっさと閉会しろ。これがツケその2。女の子と合流するとお店に向かう。予約していないので入れるか心配だったがそこは問題なかった。まずはお造りでも頼む。しかし旬のモノが大方品切れか入荷なし。ではこれをツケその3とでもしておくか。活き車海老の天ぷらもなかったのでこれがツケその4。そのあとは握りとか色々頼んでお会計。会話が弾んで2時間ぐらい居た。一人でくるより倍かかってしまったがこれはツケではないだろう。因果関係がはっきりしている。でちょっと散歩してタクシーで帰った。セックスとかそういうのはないけどこれは俺が望んだことなのでツケじゃない。とまあ1ツケ10万ぐらいで勘定すればだいたい返済しただろう。これで一安心だ。

でもふと思った。帰りのタクシーで今日はありがとうということで手をつないできた。なるほど世の男女は日頃からこれを所与のものとしながらキスやセックスに及んでいるのか。なら俺はツケなんて払わなくていいじゃないか。だっていくら儲けようとも辿り着くことのできない領域なのだから。儲けたら女を好きにできるじゃないかという意見は無視する。それはただの紀州ドンファンであって男女の仲じゃない。価値ゼロ。ゴミだよ。これにて僕のツケ恐怖症の症状はある程度緩和されることとなる。結論がいつも同じになって本当につまらないな。